紺珠

手で撫でると記憶が蘇るという紺色の玉

高校生交換留学プログラム説明会に行ってきました。

教頭先生に「興味あるんちゃう?」と紹介されたので、近年の高校生による長期交換留学プログラムの動向を知るためにも今日参加してきました。

 

内容としては、①高校生交換留学プログラムの概要説明、と②ELTiSという英語運用能力テストの概要説明とその対策の2本立てでした。

 

①高校生交換留学プログラムの概要説明

私も高校での長期交換留学の経験者ですし、大学生時代はそのサポートをするためにボランティアをしていたので、大体のことは把握済み。しかし大学生ボランティアとして高校生による長期交換留学の現場から離れて4年経つので、最近の動向・状況を聞けたのは良かったです。

私がアメリカへ派遣されたのは2004年でしたが、その頃から高校で長期留学(3ヶ月以上のもの)を経験する人数は減少になります。その傾向は数年前まで続いていましたが、最近は少しずつ上向きになってきたそうです。

更にもう1つ、10年程前とは違う傾向として紹介されていたのが、非英語圏への留学生が増加していることです。内訳としては、英語圏は約4割、非英語圏が約6割で、非英語圏の方が多くなっているんですね。これは私が留学生だったりボランティアをしていた頃にはちょっと想像しづらいことです。その非英語圏の内訳としては、半数以上が欧州ですが、最近はアジア・南米が人気を得つつあるとのこと。まだまだ先の話になると思いますが、ゆくゆくはアフリカや西アジアへの留学生が増えればいいと思います。

英語圏へ留学した者が言うのも説得力に欠けるとは思いますが、高校生の時に非英語圏で1年間も生活をするというのはかなりのインパクトになると思います。英語圏は外国とはいえ、大衆文化としては共通する部分も多いですが、非英語圏となるとそうではない国も多いですし。私も非英語圏へ留学を希望したのですが、結局はアメリカになりました。もちろんアメリカでの1年はかけがえの無いものですが、当時も今もそうですが、非英語圏へ留学した人を羨ましく思うことがあります。

それとこれは英語圏に限らず、留学生全体に共通して言えることですが、留学先で問題に直面するとFacebookなどを通じて母国の家族や友人にコンタクトを取ってしまうこと生徒が多いようですね。現地のホストファミリーやコーディネーターに相談した方が、状況もより理解していますし、即座に問題解決の行動を取ることができますが、親離れや母国離れができない生徒が近年は世界的に増えているそうです。

 

②ELTiSという英語運用能力テストの概要説明とその対策

去年までは、高校生で長期留学に行こうと思うと選考試験でSLEPという英語運用能力を測るテストを受験する必要がありましたが、開発元であるETSがSLEPの生産を中止しました。

その代わりにSCIET (The Coucil on Standards for International Education Travel:アメリ国務省が認可した高校生交換留学プログラムの実施団体について毎年運営状況を評価している組織)はBallard Tighe社が開発したELTiS (English Language Test for International Students) を採用することを発表。

ETSが開発したものだったので、SLEPはTOEFL ITPとよく似ていました。そして今年から採用されることになったELTiSもTOEFL ITPとよく似ているとのこと。

リスニングとリーディングの2つセクションがあり、それぞれリスニングは4つのパート、リーディングは3つのパートから構成されています。リスニングは24問で約25分、リーディングは26問で約45分。合計すると50問から成り、試験時間は80分ぐらいみたいです。満点はレベルによって異なるそうですが、265点が満点と言っていたはず(ちょっと曖昧な説明でした)。アメリカへ派遣される生徒は8割のスコアが求められるそうです。

問題の詳細はト◯ルゼミナールの講師が来て下さり、対策などを説明して下さいましたが、シャドーイングをしたりGSL・AWL・接頭辞・接尾辞ときっちりと抑える、といったありきたりは事、というかTOEFL iBTの対策講座でも聞いたことしか言っていなかったので割愛。

このテストの目的は、アメリカの高校で授業を問題なく受講することができるか否かを判断することです。よって一般の日本人高校生には難しいと思われますが、逆にこのテストをパスできれば現地の高校での授業にもスムーズに入ることができ、言語の壁にもそれほどぶち当たることなく、より異文化体験・理解に重きを置くができるということでしょうか。

アメリ国務省がこれくらいハイレベルを求めるのは、アメリカへの高校留学生が増えている背景があるようです。最近は私費留学生も増えているようですし。

私費留学が増加した結果、金銭目的のホストファミリーが増え、ボランティアで交換留学の支えてくれるホストファミリーが減り、最終的には交換留学でアメリカが受け入れてくれる生徒数も減るという現象も起こっているようです。そうなると、やはり英語力が高い生徒の方が行きやすくなりますよね。

 

やはり個人的には長期留学に行ってくれる生徒が出てきてほしいです。数週間で終わる短期留学とは決定的には違う部分が長期留学にはありますからね。言語習得だけでなく、異文化に対する理解であったり、自文化に対する内省などなど。

もちろん生徒自らが行きたいと思わなければ、長期留学は楽しいことよりも苦しいことの方が多いので、高校生での長期留学は大変です。なのでこちら側から強制することはありませんが、生徒たちには長期留学の良さ・体験・経験などを少しずつ話せていけたらと思います。