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紺珠

手で撫でると記憶が蘇るという紺色の玉

根岸雅史(2013)『さよなら,「総合問題」』

2月に入り、学年末考査や入学試験の季節がそこまでやって来ました。まさにテストだらけです。自分で言うものあれですが、私の性格は良くも悪くも細々としているので、他科目の定期考査をチェックするようにお願いされることがけっこうあります。

他の先生が作るテストを拝見するのは参考・勉強になるのでお引き受けするのですが、失礼ながらリーディングの科目のテストは「ミニクイ("見にくい"と"醜い"の両方の意味)総合問題」ものが散見されます。

例えば、1つのパッセージに、和訳、英訳、並び替え、発音、空所補充、指示語が指す内容を聞く、などの様々な種類の問いが含まれていたり。文章には下線、二重下線、波線などが至る所に引かれ、番号や記号も至る所に散りばめられ、目がチカチカすることも。「このテストなどんな能力を見たいのか…パズルを解く能力か?」とか「普段はどんな授業をしてるんかな…このテストからでは見えてこないな」とモヤモヤした気持ちになります。

 

新年度からは科目の主担を任されますし、ミニクイ、そしてモヤモヤするテストを作らないためにも、評価法についてもっと勉強せねばとひしひしと感じている今日この頃です。

そこで今回は三省堂のウェブサイトで見つけた根岸雅史先生のよるコラム『さよなら,「総合問題」』(PDF)のまとめです。A4サイズが2ページだけしかない短いコラムですが、総合問題が存在する理由、総合問題の欠点、そして総合問題から抜け出す方法について簡潔に書かれています。ぜひ今の職場の先生にも読んでほしいです。

 

なぜ総合問題が存在するのか

テストに出題するパッセージが授業で既習のものであるため、改めてテストで内容理解を問うことが無意味になってしまい、その代わりにパッセージ中に登場する語彙や文法を問う問題などをごちゃ混ぜにして作成してしまうため。

もし既習のパッセージを出しても読めない・問題を間違う生徒がいるのであれば、それは授業で理解させることができなかったか、生徒が理解した内容を忘れたためと根岸先生はバッサリと仰っています。

総合問題の欠点

ここでは2つ挙げられています。

まず1つ目は、テスティング・ポイントが不明確であること。その為、採点したものを見て指導や学習へのフィードバックをしようと思っても分析できない。

そして2つ目は、解答の過程が現実の言語コミュニケーションとは異なり非現実的であること。これでは負の波及効果として、パッセージやセンテンスの意味を捉えるよりも、パッセージ中の文法項目や発音などをバラバラに学習してしまいます。

総合問題から抜け出す方法

まずはどんな能力を測りたいのかテスティング・ポイントを明確にすること。もちろんテスティング・ポイントと授業でのティーチング・ポイントは対応しているはずです。測りたい能力やテスティング・ポイントがはっきりすれば、それを測るのにベストな方法・問題を考える、と根岸先生は説いておられます。

 

最後にテスト・テスティング関連で読み直したい本をご紹介して終わります。

無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る―正しい問題作成への英語授業学的アプローチ (英語教師叢書)

無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る―正しい問題作成への英語授業学的アプローチ (英語教師叢書)

 

 若林先生の切れ味鋭い、そして歯切れのよい書体はここにも健在。スラスラ読めて、勉強になっただけでなく読んでいて楽しく痛快でした。

英語テスト作成の達人マニュアル (英語教育21世紀叢書)

英語テスト作成の達人マニュアル (英語教育21世紀叢書)

 

定期考査だけでなく、小テストの方法も紹介。かなり実践的で本当に買って良かったと思える本の一冊です。 

テストの作り方 (英語教師の四十八手―英語授業のアイデア集)

テストの作り方 (英語教師の四十八手―英語授業のアイデア集)

 

 1つのテーマにつき見開き2ページで構成されており読みやすいです。こちらも実践的ですぐにでも取り入れられるような情報が盛りだくさん。

英語リーディングテストの考え方と作り方

英語リーディングテストの考え方と作り方

 

 今読んでいる本です。読み終えたらこちらでまとめ記事を更新したいと思っています。