前田啓朗先生を偲んで。
まず最初にお断りしておきます。
私は広大に在籍したことはありませんし、ましてや前田先生に師事して頂いたこともありまけん。こんな記事を書くと、広大で一緒に働かれた先生方や卒業生・生徒の皆さんに、「何こいつ」と思われるかもしれません。もし気分を害してしまいましたら、ごめんなさい。
ただ私も前田先生を尊敬する者の一人です。そして先生の急逝を未だに信じられない者の一人です。この気持ちを整理するためにも、そして何よりも先生への感謝の気持ちを少しでも伝えるためにも今回の記事を書こうと思いました。
当たり前ですが、前田先生と私の接点は限られていて、Twitter上での少しの交流と先生のご著書、そして何度か学会等で簡単なご挨拶させて頂いたぐらいなんです。それでも先生の英語教育に対する姿勢やご著書から学ぶことはたくさんあり、影響を受けています。
生徒の顔や普段の授業での様子、こちらが考えている年間計画をきちんと理解せずに、模試での偏差値や外部試験でのスコアを上げることばかりを求めてくる管理職と対峙した時は、先生のご著書『英語教師のための教育データ分析入門』を何度も読み直しました。偏差値やスコアをどのように解釈すべき、またそれをどう活かすべき、先生のご著書から学んだことを自分なりに管理職に伝えたつもりです。本当に前田先生は心強い後ろ盾でした。(そういえば大学図書館に置いてない論文をこっそりと送って下さったこともあったな…)
また先生のTwitterでの表・裏両アカウント(どっちがどっちか分かりませんが(笑))のつぶやきも大好きでした。一方のアカウントでは本当に真剣に日本の英語教育をお考えになっておられ、もう一方では批判的なつぶやきもユーモアたっぷりにつぶやく。先生のつぶやきはたくさんお気に入りに登録させて頂いてきましたが、その中から特にお気に入りのものをいつかこちら転載させて頂こうと思います。
将来ある若い人の成長に関わることができる,そんなことが当たり前であり,改めてそれを思うたび,気力が湧いてくるのです。力不足は承知ですが,ほんとうに光栄で,嬉しいと思うのです。
— 前田 啓朗 (@maedakeiroh) 2010, 11月 23
もう1枚ハンドアウトを作ろうかどうしようか。その1枚で勉強になる学生もいれば,その1枚がないほうが勉強になる学生もいるでしょう。匙加減と,折衷と,最後には思い切り。ベストを目指しつつも,ベストがない闘いです。
— 前田 啓朗 (@maedakeiroh) 2010, 10月 31
何かを身につけるときには,それなりの練習や学習の時間が必要。単に指導する人の能力や指導の方法次第で,解決するような問題じゃないのは当然。なのになぜ,指導者の能力,しかも指導方法やその他の要素を横に置いて一側面だけが問題とされるのか,理解できない。
— 前田 啓朗 (@keiroh) 2010, 10月 13
たしかに学校を出たらすぐ使えるような知識だの技能だのを学校で教えろって言われても学校を出た人の数の分だけ,人生の種類があるわけでなあ。
— 前田 啓朗 (@keiroh) 2013, 1月 12
TOEFLやったらなんでもかんでも解決するってそんなに言うんならTOEFLでそれなりのスコアをとって留学した人たちのその後について調査をだな
— 前田 啓朗 (@keiroh) 2013, 4月 7
「そんなねえ,初めて来る町で初めて来る学校で初めて会う生徒を相手に初めて会う先生が授業をなさるのを,学校の目標も教育課程も地域の特性も年間指導計画もわかったのかわからんのかのまま,ただ1回の授業を見てなんのかんのと偉そうに指導助言できるっていうほうが,どうかと思いますよほんと。」
— 前田 啓朗 (@keiroh) 2012, 11月 1
啓朗先生、もう二度と先生のつぶやきをTwitterで見られないと思うと寂しくてたまらないです。天国ではビールを飲んで「うむ」とつぶやきながら、日本の英語教育を見守っていて下さい。私も目の前の生徒と向き合いながら日々精進していきます。ありがとうございました。