紺珠

手で撫でると記憶が蘇るという紺色の玉

これも英語教育に対する過度な期待の表れ?

こんばんは。

先週に2学期の成績処理が終わり、それからは冬休みに入っております。本当は冬休みに入った後に、学期末考査で頻繁に見られたエラー・誤用をまとめて更新したかったのですが、先週末から厄介なお願い事をされていたのであまり時間がありませんでした。今日はそのお願い事に関して書きたいと思います。

Goldfish Jump Out Of Bowl 2 - expectations

経緯

さて、その「お願い事」についてです。簡単に言うと「翻訳」のお願いです。

私の遠い親戚の方がある商社に勤務されております。その商社の取引相手に薬品会社(?)があって、その薬品会社が自社の商品を中国へ輸出するそうなのです。その商品の製品安全データシート(Material Safety Data Sheet = MSDS)を中国の税関に提出する必要があるので翻訳して欲しいというお願いでした。

MSDS

このMSDSというのが厄介でした…何しろ薬品会社の商品なので化学に関する専門用語をめいいっぱい含んであったり、法律用語も吐きそうになるくらいいっぱいでした…それが6ページも…それを1週間以内に仕上げてほしいとの依頼。(けど私は私で先週末は小中の同級生との忘年会もあるし、先輩の結婚式二次会・三次会もあるし…)

「分かる範囲で構わないから」と言われたのですが、「そんなこと言ったらほぼ空白で提出やぞ!」というくらいテクニカルタームが多くて大変でした。(英辞郎先生にはお世話になりました。)最終的には、できる範囲だけ翻訳してお渡ししました。また「これからは専門の翻訳業者に依頼して下さい」とお伝えしておきました。もう二度とお引き受けしません。

英語教師 = 英語なら何でもできる!?

その方は私が高校で英語を教えているのを知っていて頼んでこられました。おそらくその方は「高校の英語の先生だから大丈夫でしょ!」という思いがあって私に依頼されたのだと思います。

ところが前述の通り、MSDSは化学や法律に関する専門用語でいっぱい…すみません、私は法学部や理工学部の出身ではないですし、私そんなん高校生に教えてないですよ…

少し考えてみれば分かることかと思うのですが、その方は「高校の英語教師 = 英語に関することなら何でも任せておけ!」とか「高校卒業した時点で高校生にとってMSDSの翻訳とか余裕綽々でしょ!」みたいな固定観念をお持ちなのでしょうか…?或いはこの固定観念はこの方のみならず、他の多数の人にも共通して見られるステレオタイプなのでしょうか…?そして更に踏み込んで、「高校の英語教師ならMSDSぐらい翻訳できて当然!」という過度な期待・要求と化しているのでしょうか…?

もちろんこれは私の邪推にすぎませんが、そういったものを感じてしまいました。(英語教育に対して過度な期待・要求をされておられる方をこちらの本を一読されてはいかがでしょうか?)

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英語教育熱 過熱心理を常識で冷ます
金谷 憲
研究社 2008-11-26

by G-Tools , 2012/12/29

言うまでもなく、私は「高校卒業時に生徒がMSDSを翻訳できるようにする!」なんて考えて日々の授業に臨んではいません。英語教師(他教科の教師は含みません)の仕事は(かなり抽象的ですが)『生徒に英語の力をつけされること』だと私は考えています。

が、「具体的には?」と問われると、回答に詰まってしまいます…もちろん学習指導要領には書いてはありませすが、自分の言葉ではまだ言い表せません。高校の英語教育はどこをゴールに見据えたらいいのですかね?もちろん究極的には生徒によって異なってくるのだとは思いますが。いつになるか分かりませんが、自分なりの答えに考え辿り着ければと思います。

おそらく年内の更新はこれで最後になると思います。皆さま、良いお年をお迎え下さいませ。そして2013年もよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m